鴨治晃次:沈黙と生への意志

April 13, 2019 to June 30, 2019

2019年は日本・ポーランド国交樹立100周年記念の年であり、マンガ日本美術・技術博物館は設立25周年を迎えます。この特別な年に、当館は一人のユニークなアーティストの回顧展を開催します。ポーランド在住60年の日本人アーティスト、鴨治晃次です。

東京に生まれた鴨治は、現在はワルシャワに住んで創作活動をしています。画家にしてオブジェやインスタレーション作家でもある彼は、東京の武蔵野美術大学を卒業後の1959年にポーランドに渡り、ワルシャワ芸術アカデミーで学び、1966年に卒業しました。

自らをポーランド人アーティストだと考える鴨治のアートの理解には、自ずと東洋の美術と美学、哲学が繰り返し参照されます。つまりは「対話」がキーワードだと言えるでしょう。

彼の絵画とインスタレーションには常に、彼または他の人々の経験した存在に関する出来事が多かれ少なかれ反映しています。一見しただけでは気がつかないような、浮世絵の中の小景に似ています。

石や水、空気、線などのミニマルな表現手段によって具現化される鴨治の芸術には、簡素と統合とが内在しています。その本質は、何よりもまず芸術(絵画)の意味を理解し、自然を知覚することにあります。他の日本の巨匠たちと同じく、鴨治にとって、描くことの究極の目的とは、事物の核心を掴むために「対象の精神」を表現することです。

“西洋とは、闘争、拡大、個人主義、論理的思考によって立つものです。東洋の伝統は、もっと内向的で、内なるものに答えを求めようとします。僕は西洋と東洋の芸術に共通するものを見つけたい。つまり精神性、これを中世の美術は非常に真剣に扱いましたが、のちにその熱は失われてしまった。現代美術は、再びそれを追求しています。西洋を追いかけた結果、東洋は感じる能力を失ってしまった。その意味で、東洋と西洋は共に、共通する視覚的鋭敏さ、感情、もっと直接的な感受性を見出さなければならないんです。
――鴨治晃次”

本展には、鴨治の様々な時代を代表する作品に加え、今回のために特別に制作された作品、インスタレーション《夢》などが出品されます。
出品作品は、アーティスト本人のコレクションに加え、他の個人コレクションと、ウッチ美術館及びワルシャワのStudio Gallery所蔵品です。展覧会カタログは、ザヘンタ国立美術館とマンガ博物館の共同で出版されます。

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開催場所

マンガ日本美術・技術博物館

Muzeum Sztuki i Techniki Japońskiej Manggha
クラカウ
ポーランド共和国
ul. M. Konopnickiej 26
30-302 Kraków
Poland
Phone: (+48) 12-267-27-03