“老いることは美しい”と飾ることはできない。“老いることは醜い”と悲しむこともできない。“老いることは、人生を豊かにする”と容易には言えない。しかし老いの先にある終わりを認識したからこそみえる未来を見てみたい。“美しく老い、豊かに終えてゆく”最後の美しさを実現するために。 作家の言葉より
都市におけるサイン計画などの社会的価値の高いデザインを創出してきた高北幸矢は、2012年よりアーティストとしてインスタレーションを展開してきた。
高北がインスタレーションを展開するきっかけとなったのは、15年程前に見た落花の椿の夢である。一面を覆い尽くす真っ赤な椿は地面におちてもなお、その命を輝かせていた。高北が椿を見ているのか、それとも椿に見られているのか。それはむせ返るような匂いさえも感じる夢であったという。その死してもなお咲き続ける椿に自らを重ね、≪生きる力と美≫を見出したのである。
本展では、丹念に彫り続けられた椿で高北の胸中にある二面性を表現する。光と影、陰と陽、美と醜、生と死。それらは互いに照らし合い、補いながら終焉の美しさへと昇華していく。最後の美しさを求めて進化する高北幸矢の椿が爲三郎記念館で開花する。
分館爲三郎記念館特別展
高北幸矢インスタレーション
「落花 未終景」
May 18, 2019 to July 15, 2019
開催場所
古川美術館分館 為三郎記念館
〒464-0066
名古屋市千種区池下町2丁目50番
Phone:052-763-1991