江戸時代には染織技術が向上し、とくに藍染めが庶民に広まります。人々は暮らしのなかで浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、濃藍(こいあい)など濃淡様々な「青」を纏いました。同じく江戸時代に大きく発展した佐賀・有田の窯業に目を向けると、17世紀初めに誕生した日本初の国産磁器である伊万里焼の主力となったのは、白い素地に掛けられた透明な釉薬に柔らかくにじむ青色の文様をあらわした染付(そめつけ)。藍染めにちなんで、その呼び名がついたという染付は、時代ごとに表現に工夫を凝らし、青の趣を変化させながら発展していきました。
伊万里焼は、時代の流行を敏感にキャッチして新しいものを取り入れ続けたやきものです。なかでも、18世紀には需要層の拡大や食文化の発展などに伴い、染付の食器を中心に生産量が増加します。また、この頃から襖の引手や将棋駒など、金属や木材といった本来磁器以外の素材で作られる暮らしの道具を模した伊万里焼が登場。染付の伊万里焼は、江戸の生活を染める青色の一翼を担いました。
今展は太田記念美術館との連携企画展。共通展覧会名を『青のある暮らし』として、江戸時代の人々の暮らしを「青」という切り口から、各館の所蔵品を通じてご紹介いたします。戸栗美術館では、江戸の暮らしのシンボルカラーであった「青色」の伊万里焼をご堪能ください。東急百貨店本店との連携企画も開催。
青のある暮らし
―江戸を染める伊万里焼―
July 2, 2019 to September 22, 2019
開催場所
戸栗美術館
〒150-0046
東京都渋谷区松濤1-11-3
Phone: 03(3465)0070