隠れ島とでも言うべき島国だった日本は、17〜19世紀の間に、「伊万里焼」という比類無き宝を生み出す国として、国際的に認知されるようになりました。鉢や碗、皿に瓶、その他の食器や人形など、半透明の華麗な色彩と金彩で飾られた真っ白い肌の磁器は、日本国内はもとより、国境を超えてアジアとヨーロッパの文化の中心地にまで流通しました。花鳥や吉祥文様、幻獣などで飾られた伊万里焼は、自然を愛し神秘の世界を信じる日本人の心に訴えかけたと同時に、エキゾチックで絢爛豪華なデザインを引き立てる輪花型の器形や華やかな金襴手の精緻を極めた装飾に彩られた伊万里焼は、ヨーロッパの貴族階級やアジアの王国の支配者たちを魅了しました。
オーストラリア初となる伊万里焼の大規模な展覧会である本展では、伊万里焼を代表する作品である金襴手、柿右衛門様式、平戸焼(三川内焼)を紹介します。これらの殆どは、それぞれのデザインの唯一の現存する作例であるか、或いは日本国内の一流美術館の所蔵品に匹敵するものです。このコレクションを収集するにあたっては、鑑定家であり慈善家でもあるポーリーン・ギャンデル夫人の寛大なるご寄附を頂きました。