菊池川は、阿蘇外輪山の尾ノ岳南麓に源流がある熊本県の一級河川です。清らかでミネラルに恵まれた川であることから、流域では古くから広大な水田が整備され、肥沃な穀倉地帯となっていきました。それによって築かれた莫大な富は、日本全国、ひいては大陸との交流につながっていきます。
平安時代後期になると、菊池一族がここを拠点に一大勢力を築き、九州屈指の精強な武士団が形成されます。その強健さは蒙古襲来や南北朝時代の動乱における活躍でよく知られています。一方で、曹洞宗の高僧・大智禅師を招いて寺院を建立するなど、厚く仏教を信仰していたことも注目すべきです。
本展は、平成29年(2017年)4月の日本遺産「米作り、二千年にわたる大地の記憶~菊池川流域「今昔『水稲』物語」~」認定を記念して開催するもので、国宝1件、重要文化財14件、県指定文化財17件、市町村指定文化財7件を含む菊池川ゆかりの文化財が一堂に会する初めての試みです。古代において菊池川流域の文化がどのように形成され、菊池一族の活躍につながっていったのか。菊池川流域の歴史を辿りながら、熊本ならではの文化を体感していただきます。