写実から写意へ、約170点の作品でその変遷をたどる。
岸田劉生は、生涯渡欧することなく日本にあって、独自に西洋絵画を受容し、大正期に独特の写実で強烈な個性を発揮した洋画家として知られています。また一方で、しだいに対象の内面に潜む美を表現するようになっていきました。
本展では、笠間日動美術館のコレクションを中心に、劉生の絵画、版画さらには装丁画などを紹介することによって、当初の西洋美術の受容による「写実」から、後半生に独特の展開を見せた日本画や東洋的な装丁の「写意」へと連なる過程を考察します。劉生による西洋芸術の受容とその超克のありかたを検証することで、日本近代美術の一断面を再検討していくものです。