恋する古伊万里 -かたちとデザインの魅力-

June 15, 2019 to September 29, 2019

17世紀初頭、日本で初めての磁器が肥前有田(現佐賀県西松浦郡有田町)で生み出されました。有田を中心とする肥前(佐賀県、長崎県)で作られた磁器は、主として伊万里港(佐賀県)から各地に向けて積み出されたことから、消費地では「伊万里焼」と呼ばれました。
生産を始めた初期には、中国陶磁に倣った意匠が多く見られますが、次第に余白を生かした構図や、富士や流水紅葉などの風景や和歌に因んだ和様の意匠も見られるようになります。17世紀中頃には、オランダ東インド会社によって海外輸出が開始され、瀟洒な柿右衛門様式や華やかな金襴手様式の伊万里焼はヨーロッパの王侯貴族にも愛用されました。
国内でも17世紀末頃から、経済成長によって富を得た豪商たちの求めに応じて、豪華な磁器が焼かれます。東インド会社の公式輸出が終了した18世紀中頃には、国内の販路を拡大し、伊万里焼は文化の担い手となった町人たちの暮らしの中に広がっていきます。町人文化が全盛を迎えた19世紀、江戸の屋台や旅籠屋などでは、料理とともに供される趣向を凝らした多種多様なうつわが人々の生活を彩りました。こうした時代とともに移りゆく伊万里焼の様々なかたちとデザインは、現在でも私たちを魅了し続けています。
本展では、柴田明彦・祐子夫妻によって蒐集され、佐賀県立九州陶磁文化館に寄贈された1万点余りの“柴田夫妻コレクション”と同館所蔵の優品をお借りし、江戸時代に生み出された伊万里焼(いわゆる古伊万里)を、そのかたちやデザインとともに紹介します。斬新な構図、闊達な筆使い、新奇な絵柄など、多彩な意匠を通して「かわいい」や「おしゃれ」、「粋」といった現代の感覚に通じる古伊万里の魅力をお楽しみください。

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開催場所

兵庫陶芸美術館

〒669-2135
兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4
Phone: 079-597-3961