茶事での主菓子は懐石の献立部分に組み込まれていることから、菓子器は懐石器具の一つとなります。そのため一人一器が原則で、現代でも縁高が正式な主菓子器として知られていますが、この縁高を簡略化したものが銘々盆や銘々皿となり、ほかにも客数の菓子を盛り入れた蓋のついた食籠や、懐石の盛込鉢も主菓子器として使われます。さらに干菓子を盛る器として各種の干菓子盆や金属製の砂張盆、さらに底に脚の付いた高坏(たかつき)などもあります。
新春展では朱塗に松喰鶴の蒔絵が施された縁高をはじめ、陶磁器や漆器などの素材や、色や形、装飾文様など多様性に富んだ菓子の器を展示いたします。菓子器ごとに盛り付ける菓子を想像しながらお楽しみください。