大衆文化が花開いた大正から昭和初期にかけて、「画家」と呼ぶには収まりきらない、多岐にわたるジャンルに新風を吹き込み、多くの人々を魅了した小村雪岱(こむらせったい)(1887~1940)。いま、その再評価の機運が高まっています。
本展では装幀や挿絵、舞台装置画、そして貴重な肉筆画や版画など、江戸の粋を受け止め、東京のモダンを体現した雪岱の作品を総合的にご紹介いたします。また鈴木春信の浮世絵や、並河靖之の七宝をはじめとする明治工芸の数々を通して、「江戸の粋」から「東京モダン」へと至る系譜をご覧いただくとともに、彼らの要素を引き継ぐ現代作家の作品も合わせて展示いたします。「雪岱スタイル」と呼ぶべき、繊細かつ洗練された美の世界をご堪能ください。