山種美術館 広尾開館10周年記念特別展
東山魁夷の青・奥田元宋の赤
―色で読み解く日本画―

November 2, 2019 to December 22, 2019

東山魁夷(ひがしやまかいい)の青、奥田元宋(おくだげんそう)の赤―。ある特定の色が画家の名と結び付けられ、代名詞のように語られることがあります。絵画の中の色は、作品のイメージや画家本人の世界観を伝えるうえで、重要な役割を担っているといえるでしょう。このたび山種美術館では、近代・現代の日本画から印象的に色が表された作品を取り上げ、画家と色の密接な関わりをひもとく展覧会を開催いたします。

明治時代に入り、日本は様々な分野で西洋の影響を受けましたが、絵画の色も例外ではありませんでした。元来、日本美術の伝統的な絵具は、群青は藍銅鉱(らんどうこう)、白は胡粉などに見られるように、鉱石や貝殻をはじめとする天然素材が主に用いられてきました。そのため、表現できる色数も限られていましたが、近代以降、多彩な合成顔料の流入や、新たな人造の岩絵具が開発されたことなどにより、色の種類が増加していきます。

このような画材の広がりは、日本画家に刺激と表現の多様化をもたらしました。画家たちの間では新たに開発・輸入された合成絵具や西洋の色彩学などを取り入れて制作を試みる者がいる一方で、天然岩絵具を中心とした伝統的な彩色表現が日本画の神髄とみなす者もおり、それぞれが日本画ならではの色の可能性を追求しながら、バリエーション豊かな作品を生み出しています。

本展では、《年暮る》で雪降る京都を青色で静謐に表した魁夷、《奥入瀬(秋)》で紅葉した奥入瀬渓流を赤色で鮮麗に描いた元宋をはじめ、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、奥村土牛(おくむらとぎゅう)など色を効果的に取り入れた日本画家の作品を約50点展示します。画家が自らの芸術を創造するため、どのような色を制作に活かしたのか、それぞれの言葉や、社会的背景などを踏まえながら、色を通じて見えてくる画家たちの軌跡をご紹介いたします。

※作品はいずれも山種美術館蔵

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