竹という素材から予想されるスケールを劇的に打ち破る、床から天井までうねりつつ伸び上がる巨大な形。
竹工芸の限界を易々と押し広げるアーティスト、四代田辺竹雲斎の作品です。
高名な竹工芸の家に生まれた田辺健雄(1973生)は、竹を編む技術を父と祖父から、作品に込める魂を母から受け継ぎました。2017年には四代目を襲名。
彼の創造は、極上の虎竹を自ら選び伐採することから始まります。素材となった竹は、生まれ育った竹林を彷彿とさせる、見上げるようなインスタレーションへと編み上げられます。その後、丁寧に解かれ洗われて、次の新たな作品の素材へと生まれ直すのです。
来る五月、パリ・ニューヨーク・サンパウロで使われた竹を用いて、彼と三人の弟子たちが、美術館のギャラリーを、ここだけのために創られる特別な作品に変貌させます。