ゴツゴツ。ザラザラ。
ブツブツ。ツルツル。
茶碗の肌は、色々な表情を持っている。
お湯で温め、湿り気を含んだ土の感触。
手で触れる。
ほんのり人肌に温められた茶碗、
唇に触れる。
抹茶の匂いが優しく通りぬける。
あなたのために点てられた一服の茶、
ほんのり温かく、心を満たす。
樂茶碗は、硬く焼き締めずに土の柔らかさを残している。
ろくろを使わず手びねりという技法でつくる。
人の手の柔らかさが息づいている。
樂家初代長次郎より始まった焼物、「樂焼」。
そこには千利休の侘茶への意識が色濃く現れている。
今回の展観では、樂茶碗の柔らかい肌が持つ表情を通して、そこから樂茶碗の特徴の1つでもある、「ぬくもり」を感じて頂く展観となっています。
堅い・柔らかい・厳しい・優しいなどなど茶碗がまとう表情を感じてもらえれば幸いです。